200円で作るMini ITX(EPAI)ファンレス専用ケース

 

闘うテクニカルライター 清水 隆夫
Rev. 1.0A By  

 
最近では、ファンレスや、低回転のファンによる低騒音PCの製作も簡単になってきている。電源のファンレス化や、大口径の低回転ファンを装備した電源も容易に入手可能となっているので、これらを用いれば、比較的低騒音のPCを製作したり、改造したりすることが可能だ。

ファンレス電源による低騒音サーバ化

 既に動作しているPCの低騒音化には、特にファンレス電源への改装が効果的であり、CPUのファンレス型ヒートシンクと組み合わせることで、HDD以外の回転モータが無くなることで、殆ど無音化したPCが実現できるので、常時稼動のサーバには、うってつけだ。

 実際に、筆者のPCをファン付電源から、ファンレス電源へと改装して、試してみたのだが、想像以上にその効果は高い。耳を澄ますと、ケース内部で回転しているCPUファンの音が聞こえてくる程度であるが、これはプロセッサがPentium IIIが2個ということで、ケースファンが無くても、なんとか動作をしてくれるからであり、Pentium 4を搭載しているPCでは、ケースのファンによる空冷は必要となってしまうだろう。

 特に、安価なケースの場合には、電源ファンが、ケースの空冷も兼ねているので、電源をファンレス化することによって、ケース内の排気が行われなくなってしまい、CPUの熱暴走や、マザーボードの冷却、HDDの冷却に悪影響もでかねないので、総合的に考えて冷却システムを考えないと、事故につながるし、最悪の場合には、発火にもつながるので、慎重にファンレス化を行う必要がある。

 筆者の実験では、Pentium IIIやCeleronの場合、1GHz程度までであれば、ファンレスをうたうヒートシンクであっても、何とか稼動してくれるようだったが、それ以上となると、やはりファンレスは難しいようだ。ファンが無いと、1GHz程度のCPUであっても、かなり発熱が酷く、ファンレス電源であるため、ケース内の排気が出来ないため、相当に温度が上昇してしまった。

 そこで、CPUをPentium IIIからC3へ変更してみた。同じ1GHzであっても、発熱は驚くほど少ないため、ファンレスのヒートシンクであっても、大きなヒートシンクであれば、問題なく常時稼動が可能だと思われる。この程度であれば、ファンレス電源であっても、ケース内の強制排気を考えないで、自然対流のエアーフローでなんとかなると思われる。

Mini ITX「EPIA」でサーバを作る

 C3の発熱特性に気を良くした筆者は、新規にC3を使用したサーバを制作してみることにした。C3はPentium IIIやPentium 4に比べると、非力なCPUではあるが、グラフィックやゲームなどに使用をすることがないサーバには、特に問題は無い。新たに製作したのは、C3をオンボードに実装したMini ITX規格のマザーボード、VIAのEPIAシリーズから、600MHzのファンレスモデルを選んだ。

 マザーボードの大きさは、ご存知のように17cm四方と小型であり、幸いにも通常のATXやMicro ATX用電源以外にも、外部電源のオプションや、標準仕様で外部電源に対応しているモデルもあるので、ファンレスを構成をとりやすいのもありがたい。今回は、秋葉原で見つけた外部電源と、電源コンバータ基板の構成で、製作をしてみることにした。

 EPIA以外に必要となるパーツは、上記の外部電源と、メモリ、そしてHDD程度で、サーバとしての動作は可能となる。サーバで使用する場合、あまりHDDへのアクセスを起こさないようにするため、メモリは1GBを奮発した。EPIAの場合、モデルによっても異なるのだが、DIMMスロットが1スロットのモデルもあるので、必要に応じて搭載メモリを選ぶことになる。今回はメモリ512MBのモジュールを2枚使用し、1GBとした。

 HDDの選択も重要なポイントである。昨今では、殆どが7200RPMの高速回転HDDが標準となってしまったが、騒音という意味では5200RPMのHDDのほうが有利だ。秋葉原でも最近は5200回転のHDDを探すのが難しいくらいに選べる品種が減っているが、今回は手持ち があったMaxtor社製の160GBのHDDを使用した。

 バラックの状態で、動作確認をし、問題が無いようだったので、そのままIDEポートへCD-ROMドライブを接続し、OSをインストール。EPIAの場合は、FDDポートを装備していないモデルもあるので、インストール時のみCD-ROMドライブを接続して、OSをインストールしてしまい、その後インストールCDの内容を、全てHDDへコピーしておく方法が良いだろう。

 幸い、筆者の使用したEPIAでは、USB接続によるFDDやCD-ROMでもインストールが可能だったので、ノートPC用のUSB接続FDDやCD-ROMドライブを流用することも、EPIAのモデルによっては可能だ。IDEポートへCD-ROMドライブを接続してインストールした場合は、OSのインストールが完了後に、接続を切り離してしまうのだが、DVDサーバやCD-ROMサーバとしても使用したい場合には、標準で装備しておくことになるのは、言うまでもない。

 こうして、バラック動作であるにせよ、HDD以外は完全無音サーバが動作し始めたわけだが、このまま運用するには、常時稼動しているサーバPCとしては、あまりにも危険だ。不用意に触ってしまう場合もあれば、接続ケーブルが外れてしまう場合もある。やはり安定に稼動させるためには、ケースが必要となる。

 しかし、折角本体や電源にファンが装備されていないのに、ケースに入れることで、エアーフローが悪化して、ファンをつけるのでは、本末転倒だ。また、市販のケースは、特にMini ITX用のケースは高価なモデルが多く、ファンが必要になるケースも多い。今回は、エアーフローを考えた結果、ケースは完全に自作することを目指した。

200円で作るEPIA用ファンレスケース

 使用するケースのパーツは、100円ショップで売られている、プラスチック製の小箱だ。20cm x 10cm x 10cmの大きさであり、これを2個使用すれば、EPIAのマザーボードと、電源コンバータ基板、そしてHDDを余裕で内蔵できる。このプラスチックケースは、無色透明や、カラーリングされたものなど、バリエーションも豊富なので、好みで選べば良いだろう。今回は、中が見えるように無色透明の クリヤタイプのものを選んだ。

 プラスチックケースの加工は、アクリルカッターなどで容易に行えるので、現物あわせで、EPIAのリアパネルが、きっちりと入るように、プラスチックケースの底面をカットし、鑢で調整する。コツは、少し小さめに穴をカットしておき、リアパネルのはまり具合を見ながら鑢で削っていくことだ。一回でぴったりとあわせようと思うと、穴が大きくなりすぎて、パネルが外れやすくなる。

 後は、EPIAの取り付け穴にあわせて、プラスチックケースの既に空いている穴を流用して、穴を鑢で削ったり、新たな穴をドリルで開けたりして、こちらも現物あわせで、取り付け穴を調整する。電源コンバータの基板部分も同様に、現物あわせで調整し、電源コネクタの部分の穴なども、ドリルで開ける。
 
 アクリルカッターでパネル部分を切り抜く  ドリルで必要な穴を開けてヤスリで整形
 電源スイッチの取付け穴なども開けておく  ヤスリでパネルがピッタリ入る様整形する
 元の穴が利用出来ない場合は新たに開ける  電源ユニットやマザーボードを取り付ける
 メモリ等も装着してパーツの干渉をチェック  マザーボードはスペーサで浮かせて装着
 HDDユニットも穴を塞がない様に取り付ける  HDDとメモリ等が干渉しないかもチェック


全体を仮組み立てしてみて、パーツの干渉や、ケースのゆがみなどをチェックする
異常が無ければ、HDDとマザーボードをATA接続用フラットケーブルでつなぎ、CDドライブをATAポートへ接続してから、OSのインストールを行う
USB接続のCDドライブがあれば、USBポートへ接続することで、EPIAシリーズであればインストールが可能だ
縦置きの方が放熱性は良い

 二つのプラスチックスースは、EPIAのマザーボードでくっついた状態になる。加えて、反対側にHDDを取り付けるので、HDDの固定も、双方のプラスチックケースで行えば、特にプラスチックケース同士を固定する必要は無い。HDDの取り付けは、3.5インチHDDの5インチベイ取り付けマウンタ用の金属アダプタを流用した。この場合、HDDを取り付ける際に、HDDがプラスチックケースの穴をふさがないように、5mm程度浮くように取り付け、穴を利用したエアーフローを邪魔しないようにする。

 マザーボードのプラスチックケースへの取り付けも、同様にスペーサを必ず使用し、プラスチックケースの穴をマザーボードが塞がないように取り付ける。動作確認は、バックパネルの装着された側のプラスチックケース側だけで行い、動作の確認後に、フロント側のプラスチックケースを、HDDのマウンターと、マザーボードに予め取り付けておいた、スペーサへねじ止めして固定すればよい。

 動作確認用のLEDや、電源スイッチ、リセットスイッチなども、必要に応じて、リアパネル側のプラスチックケースへ取り付けておく。フロント側のプラスチックケースには、これらの部品を取り付けてしまうと、メンテナンス時に取り外ししにくくなるので、可能であれば避けた方が良いだろう。

 空いたスペースもあるので、ここに自分のお気に入りのフィギアなどを入れておくことも可能だし、最近秋葉原ではやりの”光モノ”を装備したりすることで、それなりの見栄えがでてきたりもする。

 組み立て終わったら、ゴム足などを底面に装着し、底面の穴から自然対流のエアフローが可能になるようにすれば、完成だ。バック面とフロント面以外は、全面に穴があるので、これだけで十分に廃熱と吸気が可能なので、真夏であっても内部の熱は、確実に排気され た。僅か200円で、自宅サーバに最適な完全ファンレスケースの自作が可能になる。

 100円ショップでは、同様の安価なプラスチックケースが数多く販売されているので、Mini ITXのEPIA以外にも、更に大型のケースを選べば、Micro ATX程度が入るケースを自作することも可能だろう。秋葉原以外にも、PC自作に使える部品が、以外と多く存在しているのだ。

■ コラム: パーソナル向けUPSをサーバ運用には使用しよう

 自作サーバといえど、停止することで問題が起こるのは、業務用と同じだ。秋葉原で売られている、簡易UPSを使用すれば、サーバだけではなくADSLモデム、ルータ、HUBなどもバックアップをすることが可能だ。300AV程度であるが、コンセント型の小型UPSで、万が一の停電対策を行えるの で、自作サーバに限らず、PCをサーバに転用する場合も活躍する。

 ノートPCをサーバに使う場合には、ノートPC本体だけは内蔵電池によるUPSが内蔵されているのと同じだが、専用UPSを使う場合と異なり、ADSLモデムやルータのバックアップまではサポートできない。専用UPSであれば、周辺装置までもバックアップできるので、ノートPCをサーバで使用する場合にも、便利だろう。

 加えて、自動シャットダウンを行うUPSマネージメントソフトも付属してくるので、同梱されているRS-232Cで、シリアルポートと接続しておけば、長時間の停電の場合には、自動的にサーバをシャットダウンさせるし、瞬間的な停電では、そのままサーバを運転させておくことも可能だ。もちろん、UPSの電池残量がある間は、ADSLモデムやルータも動作を続けてくれる。
 
 
 

常時接続ユーザーのための・・・ SERVER MANIAXX

・著者: 清水 隆夫・高橋 隆雄・後田 敏・津守 美弘
・定価: 2,625円(税込)
・A5判 424ページ
・ISBN4-8399-1274-2
・発売日: 2004年05月25日
 

好評発売中

 
Amazon.co.jpbk1cbook24.com楽天市場
 
 
  闘うテクニカルライター 清水 隆夫Copyright (C) 2004 By Takao Shimizu
文章及び写真の無断転載、を禁じる 清水 隆夫